こんにちは、独学家(セルフ・ラーナー)のKuroです。
このブログでは、独学での大学受験や資格試験、海外留学についてのノウハウを発信しています。
こちらの記事では、大学受験を想定した独学の方法、特に、スケジュールの立案とその実行について解説します。この記事は、独学に限らず大学受験を控えた方々にも有益な内容が含まれていますので、是非ともご一読ください。
独学の方法
大学受験において独学を選ぶ場合、がむしゃらに勉強するだけでは効果的に学ぶことができず、目標を達成することができません。独学は戦略が命です。
そして、私がいつも採用する独学の戦略はこちらです。
- 目標を理解する ← 「その1」
- 徹底した情報収集 ← 「その1」
- 参考書を丁寧にマスターする ← 「その2」
- 計画を立てて実行する ← 本記事の範囲
- 自分を信じて計画を実行する ← 本記事の範囲
では、東大受験を例にとりながら、各々の過程について詳しくみていきましょう。
計画を立てる

参考書を選んだら、次は長期的・短期的な計画を立てて実行します。勉強する上ではこの長期・短期という考えが重要になってきます。
長期的な計画を立てる
まずは長期的な計画です。これは、大学受験日から逆算して、いつまでにどのレベルの参考書をマスターする必要があるか、という青写真を描くことです。仮に初級→中級→上級と参考書のレベルを上げていくとして、各々の参考書をマスターするのに必要となるであろう時間をあらかじめ計算し、試験日から逆算するのです。
東大物理を例に取って見ましょう。初級レベルである「物理のエッセンス」はいつから始めるのが良いでしょうか?
初級レベルである「物理のエッセンス」は合計352問あります。1問に10分かかるとして、
352問 × 10分/問 = 3,520分 ≒ 59時間
が必要となります。また、問題集を完全に理解するためには反復練習が必要不可欠であるため、これを3周すると想定したとき、
- 1週目:352問 × 10分/問 = 3,520分 ≒ 59時間
- 2週目:352問 × 8分/問 = 2,816分 ≒ 47時間(1週目より各問題に要する時間は少ないと想定)
- 3周目:352問 × 6分/問 = 2,112分 ≒ 35時間(2週目より各問題に要する時間は少ないと想定)
- 合計:141時間
が必要となります。仮に物理に割く時間を1日1.5時間とすると、マスターするには94日間必要ということがわかります。
こちらの記事で解説しているとおり、本来は全ての問題を3周する必要はありません。あくまでも、わからなかった問題を中心に反復しましょう。
こちらでは、参考書をマスターするのに必要な時間を計算するために全ての問題を3周すると仮定しています。
同様に、「名門の森」は合計201問あり、1問に30分かかるとして、
- 1週目:201問×30分/問 = 6,030分 ≒ 101時間
- 2週目:201問×20分/問 = 4,020分 ≒ 67時間
- 3週目:201問×10分/問 = 2,010分 ≒ 34時間
- 合計:202時間(1日1.5時間と想定すると、134日必要)
「難問題の系統とその解き方」は約400題(例題、演習問題含む)あり、1題に30分かかるとして、
- 1週目:400題×30分/題 = 12,000分 ≒ 200時間
- 2週目:400題×20分/題 = 8,000分 ≒ 133時間
- 3週目:400題×10分/題 = 4,000分 ≒ 67時間
- 合計:400時間(1日1.5時間と想定すると、267日必要)
ということがわかります。
つまり、上記3冊を理解しようとした場合、1日1.5時間の勉強で
94日 + 134日 + 267日 = 495日 ≒ 16.5ヶ月
もの日数が必要となります。
実際には入試の直前には過去問を解く時間(1~2ヶ月)が必要となるため、東大試験日から逆算して18ヶ月前には物理のエッセンスを開始しておく必要があることがわかります。
これをイメージ図にするとこちらになります。

あくまでもイメージですが、長期的な視野に立ち、試験当日を見据えた計画を立てながら、少しずつ自分自身のレベルを上げていくことで、目標を達成できることがおわかりになるかと思います。
短期的な計画を立てる
長期的な見通しを立てたら、次は短期的なスケジュールを立てます。ここでいう短期というのは、数週間~1ヶ月程度の期間を指しています。
上記では、長期的な例として東大物理を取り上げました。しかし、実際には数学、理科(私の場合は化学)、英語、国語、そして共通テストの勉強も進める必要があります。また、上記では物理を1日1.5時間勉強するものとして計算しましたが、平日と休日で勉強時間は異なり、週末に模試があるかどうかという各週の事情に応じても勉強時間は異なってきます。そこで、常に短期的な計画を立て、各科目で勉強時間の帳尻を合わせながら勉強することが必要となります。
短期的な計画を立てる上でまず必要となるのが、平日と休日で何時間勉強できるかを決めることです。そして、1週間、1ヶ月で勉強できる時間を計算して、長期的な計画と照らし合わせながら各科目の勉強時間を決めていきます。
私が高校3年生のときは、平均して平日6時間(授業を除く)、休日12時間の勉強時間を確保していました。これは、1週間で約54時間、1ヶ月で約225時間程度の勉強時間を確保していることとなります。
一例として、この勉強量を前提とした高校3年4月の短期スケジュールはこちらとなります。※1週間のスケジュールですが、4月はこれを繰り返すことを想定していました。
日 12時間 | 月 6時間 | 火 6時間 | 水 6時間 | 木 6時間 | 金 6時間 | 土 12時間 |
---|---|---|---|---|---|---|
数学:3時間 物理:2時間 化学:2時間 英語:3時間 国語:2時間 | 数学:1.5時間 物理:1時間 化学:1時間 英語:1.5時間 国語:1時間 | 数学:1.5時間 物理:1時間 化学:1時間 英語:1.5時間 国語:1時間 | 数学:1.5時間 物理:1.5時間 化学:1.5時間 英語:1時間 国語:0.5時間 | 数学:1.5時間 物理:1時間 化学:1時間 英語:1.5時間 国語:1時間 | 数学:1.5時間 物理:1時間 化学:1時間 英語:1.5時間 国語:1時間 | 数学:3時間 物理:2時間 化学:2時間 英語:3時間 国語:2時間 |
このように、4月における1週間の短期スケジュールを構築しておき、長期スケジュールと照らし合わせて各科目の進捗が問題ないようであればこれを継続し、特定科目の進捗が良い/悪いようであれば科目間で勉強時間を調整して短期スケジュールを修正していきました。
また、どのように工夫しても長期スケジュールに合わせた短期スケジュールの構築が難しい場合は、勉強時間を増やすか、各問題へ割く時間を削るか、志望校を見直す必要があります。現に私も勉強時間が足りないと感じたときは、高校の授業中に独自の参考書を広げて勉強するなど、何とか勉強量を確保することで対応しました。
自分を信じて計画を実行する

最後に重要なのは、自分で立てた長期・短期スケジュールを信念を持ちながら着実に実行することです。
独学をしていると、果たして自分の立てた計画通りに勉強したとしても、志望校へ合格するだけの学力を養えるのか、また、思うように成績が上がらないとき、自分の立てた計画に間違いがあるのではないかと不安になることがあります。しかし、目標を明確にした上で、独自に情報を収集して良質な参考書を選び、各々に必要な時間を計算して長期・短期スケジュールを立てられるような人は、自分の立てたスケジュールに自信を持つべきです。そして、そのスケジュールを信じて勉強を継続するのです。
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よく模試の合否判定で一喜一憂する人がいますが、入試直前の模試でない限り、合否判定は一つの参考情報として捉えるべきです。A判定が出たからといって勉強の手綱を緩めず、また悪い判定が出たからといって直ぐに志望校を変更する必要はありません。A判定が出たからといって驕らず勉強を継続し、また悪い判定が出たからといって諦めずに勉強を継続する。そのような強い信念を持った人こそ、継続して学力を上げることができるのです。