一級建築士試験(学科)を独学で合格するための勉強法を解説します

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一級建築士

こんにちは、独学家(セルフ・ラーナー)のKuroです。

このブログでは、独学での大学受験や資格試験、海外留学についてのノウハウを発信しています。

こちらの記事では、一級建築士試験の学科・製図ともに独学で一発合格したKuroが、学科試験を独学で合格するための勉強方法、について紹介します。

はじめに

一級建築士試験を受験されようと志している方の中には、独学で挑戦するか資格学校に通うかを悩まれている方も多いのではないでしょうか。独学は費用がかからない一方で、果たして独学で突破できるかという不安もあることでしょう。

そこでこちらの記事では、一級建築士試験の学科に独学で合格するための勉強方法について紹介します。

Kuro
Kuro

参考書を厳選して、テキストと過去問を使って反復勉強することにより、学科試験は独学で合格可能です。

目標を理解する

まず、独学合格を目指す上で大切なのは、目標をしっかりと理解することです。とても当たり前なことですが、これが出来ている人は多くはありません。

配点を理解する

第一に、学科試験の科目と配点を理解して、どの科目にどの程度の時間を割く必要があるかを把握します。

(公財)建築技術教育普及センターのHPを見てみると、学科試験における各科目の配点は次の通りとなっています。

  • 学科Ⅰ(計画):20
  • 学科Ⅱ(環境・設備):20
  • 学科Ⅲ(法規):30
  • 学科Ⅳ(構造):30
  • 学科Ⅴ(施工):20
  • 合計:125

こちらを見ておわかりになるとおり、法規と構造は30点、その他は20点満点となっています。そのため、効果的に得点するためには、5科目の勉強時間を全て平等にするのではなく、配点に応じて勉強時間を変える、ということが有効になってきます。

目標点を設定する

配点を理解したら、次は目標点を設定します。

過去の合格最低点を見てみると、概ね90点前後(125点満点)がボーダーラインとなっていることがわかります。また、各科目にも合格最低点が設定されるため、合格するためには各科目の最低点を越えつつ、且つ合計点も最低合計合格点を超えている必要があります。参考として、令和3年の合格最低点はこちらになります。

学科Ⅰ
(計画)
学科Ⅱ
環境・設備
学科Ⅲ
(法規)
学科Ⅳ
(構造)
学科Ⅴ
(施工)
総得点
合格基準点10/2011/2016/3016/3013/2087
引用:国土交通省HP

合計90点とは、125点満点のうち72%を得点しなければならないということです。これを単純に各科目の配点で割ると、次の表のとおりとなります。

学科Ⅰ
(計画)
学科Ⅱ
環境・設備
学科Ⅲ
(法規)
学科Ⅳ
(構造)
学科Ⅴ
(施工)
総得点
14~15/2014~15/2021~22/3021~22/3014~15/2090/125

つまり、こちらの表の得点が、学科合格を目指す上での一つの目標となります。もちろん、勉強する中で得意・不得意科目も出てくることから、得意科目の目標点は更に高く設定しつつ、不得意科目の合格点は少し低めに設定することも検討してみましょう。

また、少し余裕をもって合格したい場合は、更に高い得点、例えば合計95~100点(95~100/125=76~80%)を目標点に設定することも有効だと思います。しかし、あくまでも90点程度取れれば合格しますので、あまりにも高い得点(110点など)を設定することは、想定以上に勉強時間を取られてしまうため控えた方がよいでしょう。

Kuro
Kuro

合計95~100点を目標点とされながら勉強されるのが良いでしょう。

出題範囲を理解する

厳選された参考書のイメージ

次に、独学で学科試験に合格する上で大切なのは、各科目の出題内容を理解することです。一級建築士試験は広範囲に及ぶため、重要な点を全て暗記することは時間を要します。しかし、暗記は二の次にしつつ、先ずは出題内容を理解することにより、学科試験の内容は理解できる、という自信をつけることができます。

参考書を厳選する

出題範囲を理解するにあたり、先ずは参考書を選びましょう。そして、独学で重要なのはテキストを含めた参考書を厳選して、その参考書で集中的に勉強することです。勉強時間が限られている中で複数の参考書に手を出してしまうと、いずれも中途半端な形で終わってしまい、知識が定着しない恐れがあります。

最低限購入する必要がある参考書は、「テキスト」、「建築関係法令集」、「過去問集」です。

テキストは市販でも良いものが売られていますが、やはり資格学校のテキストが良質です。試験に出る要点が簡潔に記載されており、関連する問題が過去に何回出されたかも掲載されています。しかし、残念ながら資格学校のテキストは市販されていないため、フリマで購入するか、友達に譲ってもらうなどして手に入れましょう。少し古くても内容に大きな違いはないため、2~3年前のものでも問題ありません。

法令集は最新のものを購入して、テキストを1回通読するタイミングで線を引きましょう。各資格学校から法令集が出版されていますので、大きさや条文の引きやすさを基に選びましょう。線引きは法令集を購入した後に貰えるサンプルで十分に対応可能です。なお、線引きする時も機械のようにただ線引きするのではなく、テキストの通読と同様に何が書かれているのかを理解しながら線引きすることが大切です。

過去問は「1級建築士試験学科過去問スーパー7(総合資格学院)」がおすすめです。過去問7年分が掲載されていることに加えて、解説がしっかりしているため独学者に向いています。

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テキストを精読する

参考書を選んだら、出題範囲の理解へ進みましょう。各科目の出題範囲を理解するために有効なのは、先ずは各科目のテキストを理解しながら通読する、ということです。

テキストを理解しながら読み進めるといっても、一回の通読で全ての内容を暗記する必要はありませんし、そのようなことは通常できません。また、一回理解した内容も、数日経ったら忘れてしまうことも多々あるでしょう。

しかし、通読しながらテキストの内容を一度理解することにより、学科試験に出題される内容は理解できる、つまりは学科試験の問題には対応できる、という認識を持つことができ、その後もモチベーション維持に役立ちます。

なお、テキストを始めて通読する際は、マーカーを引くことをあまりおすすめしません。というのも、初めて学ぶ人はテキストを読んでも何が重要なのかを判断することが難しく、特に重要でない点にマーカーを引いてしまい、その後の勉強に支障が出る恐れがあるからです。

Kuro
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2回目以降の通読の際に参考書へマーカーを引くことをおすすめします。

また、ある科目で理解が難しい項目が出てきたときは、テキスト以外の参考書を購入して、理解の促進に努めましょう。特に、法規と構造は配点が高いため、これらの科目に苦手意識のある人は、テキスト以外にも市販の参考書を用いて勉強しましょう。

法規で大切なことは、できる限り法令集を参照せずに解ける問題を増やしつつ、法令集を参照するときも的確に関係条文を引いて解答を探し当てることです。

もし法規で得点がなかなか伸びない場合は、次の参考書をおすすめします。こちらは分野ごとに問題が纏まっていることと、500題というボリュームで掲載されているため、法令集を参照せずに解ける問題を増やしつつ、法令集の参照方法も覚えることができます。

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構造の計算問題が苦手な場合、こちらの参考書はシステマチックに解き方を解説しているため理解が捗ります。しかし、新しい傾向の問題が出てきた時にはこの参考書の知識で対応できないかもしれません。

Kuro
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得点源とは言わないまでも、構造が足を引っ張ることは避けたい、という方におすすめの一冊です。

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目標とのギャップを理解する

テキストを一度通読したら、過去問を1年分解いてみましょう。このタイミングで過去問に触れることで、学科試験の表現ぶりを把握することができることに加えて、目標点と自分の学力とのギャップを知ることができます。

また、過去問を解く際は、ある科目のテキストを通読したらその科目の過去問を1年分解いてギャップを理解して、次の科目のテキストを通読する、という流れをおすすめします。

  • 学科Ⅰ(計画)のテキストを通読 → 学科Ⅰ(計画)のみの過去問1年分を解く
  • 学科Ⅱ(環境)のテキストを通読 → 学科Ⅱ(環境)のみの過去問1年分を解く
  • ・・・・

理由は、もし学科Ⅰ~Ⅴのテキストを全て通読した後に過去問を解いてしまうと、最初の方に通読して理解した科目の大部分を忘れてしまっている可能性があるからです。先ずはある科目のテキストを通読して過去問を1年分解いてみることにより、集中的に取り組まなければいけない科目や、暗記が疎かになっている分野を特定して、理解の定着を図ることができます。

Kuro
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もちろん、過去問を解いた際はしっかりと解説を読み込んで理解しましょう。

テキストと過去問を使いこなす

ここまで来たら、学科試験の出題範囲をある程度把握できている一方、膨大な出題範囲の内容をどのように暗記すればよいのか悩んでいることでしょう。そこで、知識を定着させるために有効なのがテキストと過去問の反復練習です。

テキストを再通読して理解を定着させ、過去問を解く

全科目のテキストを通読して過去問を1年分解いたら、改めてテキストを再通読しましょう。テキストを再通読することで、出題範囲の理解を少しずつ定着させることができます。

そして、テキストを再通読したら、過去問スーパー7を用いて残りの過去問6年分を全て解いてみましょう。

過去を解く際は、わからなかった問題をチェックしておき次回以降に集中的に取り組めるようにしておくことや、理解が疎かになっている科目や分野を特定して、その後の勉強で集中的に取り組めるようにしておくことが大切です。

また、不正解だった問題はもちろん、正解だった問題も解説をしっかり読んで内容を理解することが大切です。問題と解くときにありがちなのは、誤った理解しているにもかかわらずたまたま正解だったということです。このような状況を放置していると、次に類似の問題が出てきた時に、不正解となってしまいます。

Kuro
Kuro

正解していたからといって手綱を緩めることなく、しっかりと解説を読んで理解を深めていくことが重要です。

テキストと過去問の反復練習

テキストを2回通読して、過去問を7年分解いたら、学科試験の合格にかなり近づいてきていると思います。

ここまで来たら、あとは理解が疎かになっている科目・分野のテキストを改めて読み込みつつ、過去問を繰り返して解いてみることです。学科試験へ向けた勉強の原則は、テキストと過去問を用いて反復練習し、理解を定着させることです。

そして、この過去問を通じて苦手科目・分野を特定し、テキストを通じて理解をカバーする、というサイクルを2~3回繰り返すことができれば、学科試験を独学で合格する学力は十分に培われていることでしょう。

勉強スケジュール

最後に勉強スケジュールです。

勉強スケジュールは受験者の状況に応じて変わってくるため、一律でおすすめできるスケジュールの提示は難しいです。しかし、学科対策に必要な勉強の総合計時間と、1日に勉強可能な時間を勘案することにより、いつから勉強を開始しなければいけないのかを把握することはできます。

私は学科合格に約500時間を要し、また資格学校のTACも学科合格に必要な勉強時間の目安として500時間を提示しています。そこで、先ずは500時間勉強するという目標を立てて、ご自身の仕事の状況などを勘案しながら1日に勉強可能な時間を導き出し、いつから勉強しなければいけないのかを逆算することをおすすめします。

また、できれば試験日1週間前は纏まった時間をとり、過去問を中心として集中的に勉強することをおすすめします。一度理解したり暗記した内容でも、どうしても徐々に記憶が薄れてしまいます。そのため、纏まった時間を取って理解と記憶を深めた状態で受験した方が、間違いなく良いパフォーマンスを発揮できます。

Kuro
Kuro

最後までご覧いただきありがとうございました!


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