一級建築士試験は、独学で学科・製図ともに合格することは可能なのか?

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一級建築士

こんにちは、独学家(セルフ・ラーナー)のKuroです。

このブログでは、独学での大学受験や資格試験、海外留学についてのノウハウを発信しています。

こちらの記事では、一級建築士試験の学科・製図ともに独学で一発合格したKuroが、一級建築士の概要と、学科・製図ともに独学で合格可能かどうか、について解説します。

一級建築士とは?

先ず、一級建築士とはどのような資格でしょうか。

日本では、一級建築士のほかにも、二級建築士と木造建築士という資格があります。それぞれ設計と工事監理できる建築物の延べ面積や構造等が異なっています。二級建築士は木造建築士の上位互角であり、一級建築士は二級建築士の上位互角となります(詳しく把握されたい方は、(公財)建築技術教育普及センターHPをご覧ください)。

つまり、一級建築士は、全ての構造・規模・用途の建築物について設計・工事監理を行うことができる、建築分野の最上資格となります。

Kuro
Kuro

一級建築士となった後、5年以上の実務経験を経た者だけが取得できる「構造設計一級建築士」、「設備設計一級建築士」という資格も存在します。取得には講義と修了考査が必要となり、修了率は40強~70%弱となっています。

一級建築士になるためには?

では、一級建築士になるためにはどうすればよいでしょうか。順を追って紹介します。

受験資格を得る

まず、一級建築士試験を受験するためには、受験資格を有している必要があります。

受験資格とは、次のいずれかに該当する人を指します(全てを満たしている必要はありません)。

  • 学歴要件を満たす者(所定の大学・短期大学・高等専門学校を卒業した者)
  • 二級建築士
  • 建築設備士
  • その他、国土交通大臣が特に認める者(外国大学を卒業した人など)

なお、令和1年度以前は、受験資格として実務経験が課されていましたが、令和2年度の改正によって、受験のために実務経験は不要となりました。そのため、所定の4年制大学を卒業された方は、卒業後直ぐに一級建築士試験を受験することができます。

また、国土交通省の資料を見てみると、学科・製図合格者のうち、受験資格の割合は、学歴要件が約81%、二級建築士が16.9%、建築設備士が1.4%、となっており学歴要件で受験資格を満たしている受験者が多いことが見て取れます。

Kuro
Kuro

「所定の大学・短期大学・高等専門学校を卒業したもの」は大学・専門学校等への入学年度が平成21年度以降か、平成20年度以前かで異なってきます。詳しくは(公財)建築技術教育普及センターHPをご覧ください。

学科試験の概要

受験資格を得たら、先ずは学科試験を受けることとなります。

学科試験は例年、7月の第4日曜日に行われます。四肢択一式で、学科Ⅰ(計画)、学科Ⅱ(環境・設備)、学科Ⅲ(法規)、学科Ⅳ(構造)、学科Ⅴ(施工)、という計5科目、125問で成り立っています。

出題科目出題数試験時間
学科Ⅰ(計画)20学科Ⅱと合わせて2時間
学科Ⅱ(環境・設備)20学科Ⅰと合わせて2時間
学科Ⅲ(法規)301時間45分
学科Ⅳ(構造)30学科Ⅴと合わせて2時間45分
学科Ⅴ(施工)25学科Ⅳと合わせて2時間45分
引用:(公財)建築技術教育普及センターHP

特徴的なのは、学科Ⅰと学科Ⅱ、学科Ⅳと学科Ⅴが同時に行われるということです。学科Ⅲは単独で行われ、次のような法令集を持ち込むことができます。

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合格点は例年90点前後ですが、各科目の合格最低点も決められているため、合格のためには各科目の最低点を達成しつつ、且つ、合計点が5科目合計の合格点を超えている必要があります。参考として、令和3年の合格最低点はこちらとなります。

学科Ⅰ
(計画)
学科Ⅱ
環境・設備
学科Ⅲ
(法規)
学科Ⅳ
(構造)
学科Ⅴ
(施工)
総得点
合格基準点10/2011/2016/3016/3013/2087
引用:国土交通省HP

製図試験の概要

学科試験に合格したら、次は製図試験となります。

製図試験は例年、10月の第2日曜日に行われます。毎年、特定の課題テーマが与えられ、6時間30分の製図一本勝負で合否が決まります。

課題のテーマは7月下旬ごろに(公財)建築技術教育普及センターHPにあらかじめ公表されます。参考として、過去5年の課題テーマはこちらです。

  • 令和3年 |集合住宅
  • 令和2年 |高齢者介護施設
  • 令和1年 |美術館の分館
  • 平成30年|健康づくりのためのスポーツ施設
  • 平成29年|小規模なリゾートホテル

課題のテーマ(課題、要求図書、留意事項)は7月下旬に与えられますが、課題の詳細(敷地条件や要求室など)は試験日になってみないとわからないこととなっています。

また、学科試験に一度受かれば、製図試験は5年以内に3回受験可能となっています。そのため、製図試験の学科と製図までの期間は3ヶ月程度しかないため、仮に製図の勉強が間に合わなくても、1年目の製図試験(学科から3ヶ月後の製図試験)はパスしたり、1年目は試験慣れするために受験してみる、ということが可能となっています(もう少し詳細に把握されたい方は、国土交通省の資料をご覧ください)。

一級建築士の免許登録

最後に一級建築士としての免許登録です。

一級建築士試験に合格しただけでは一級建築士を名乗ることはできないのです。

また、一級建築士試験に合格したからといって無条件に登録できるわけではなく、受験資格に応じた建築関連分野の実務経験が必要となります。

こちらのテーブルに記載のとおり、大学卒業を学歴要件として受験した場合、免許登録するためには、大学卒業後(※一級建築士試験合格後ではない)に2年以上の実務経験が必要となります。

学歴(卒業学校)実務経験
大学2年以上
短期大学(3年)3年以上
短期大学(2年)・高等専門学校4年以上
二級建築士二級建築士として4年以上
国土交通大臣が同等と認める者所定の年数以上
建築設備士建築設備士として4年以上
引用:国土交通省HP

また、実務経験として認められる実務経験も定められています。認められる実務経験は日本建築士連合会に記載がありますので、ご自身の業務が実務経験としてカウントされるかどうか不安な方は、事前にご覧いただくとよいでしょう。

一級建築士の合格率

次に、一級建築士の合格率はどれくらいでしょうか。学科と製図に分けてみてみましょう。

学科の合格率

令和3年を例にとってみてみると、学科の合格率は15.2%となっています。

  • 実受験者数:31,696人
  • 合格者数:4,832人
  • 合格率:15.2%

また、平成28年~令和2年の間は、最低合格率が16.1%、最高合格率が22.8%となっており、概ね15~22%で推移していることがわかります。

製図の合格率

次に、製図の合格率です。

こちらも令和3年を例にとってみると、製図だけの合格率は35.9%となっています。

  • 実受験者数:10,499人
  • 合格者数:3,765人
  • 合格率:35.9%

また、平成28年~令和2年の間は、最低合格率が34.4%、最高合格率が41.4%となっており、概ね34~41%で推移していることがわかります。合格率だけ見れば、学科と比べると製図の方が合格しやすいと言えます。しかし、製図受験者は学科試験を突破してきた人たちであり、製図は受験者全体のレベルが高いことを忘れてはいけません。

総合合格率

最後に、総合合格率です。こちらは、製図の合格者数を実受験者数(学科の試験から受験した人と、製図の試験から受験した人の合計)で割った値となります。

令和3年をみてみると、総合合格率は9.9%となっています。

  • 実受験者数:10,499人
  • 合格者数:3,765人
  • 総合合格率:9.9%

また、平成28年~令和2年の間は、最低合格率が9.9%、最高合格率が12.5%となっており、概ね10~12%で推移していることがわかります。これは、10人受験して1人だけ受かるというレベルであり、一級建築士は難易度の高い国家資格といえるでしょう。

一級建築士は独学で合格可能?

一級建築士試験のイメージ

では、この難関資格である一級建築士に独学で合格することはできるでしょうか。

ブログ主のKuroは、独学で合格可能だと考えています。実例として、Kuroは平成30年の一級建築士試験を受験して、学科、製図ともに独学で一発合格しました。

Kuro
Kuro

こちらの記事で、学科と製図の合格体験談を紹介しています。

独学で受けた背景

Kuroが独学を選んだ理由として、受験を志した当時は海外駐在していたため、そもそも資格学校へ通うことが不可能でした。そのため、大手資格学校が開催している模試を受けたこともなく、学科、製図共にぶっつけ本番で受験しました。しかし、仮に日本に住んでいたとしても、先ずは独学を選んでいたと思います。というのも、Kuroは大学受験を独学で突破し、国家公務員試験も独学で突破した経験があるので、独学のノウハウを持っています。先ずは独学でやってみる、というのが、資格試験や勉強へ対するKuroの基本方針です。

独学で合格可能かどうか?

結果として、独学で学科、製図試験共に合格することができました。

受験した感想として、学科試験は十分に独学で合格可能だと考えます。学科試験は四肢択一式で、参考書や過去問のデータが豊富にあります。また、学科Ⅳ(構造)を除いて殆どが暗記問題であり、また学科Ⅳ(構造)に出てくる計算問題も、勉強すれば十分に対応可能です。

一方で、製図試験は独学では難しいかもしれません。私は運よく一発で合格することができましたが、もし不合格なら添削サービスにでも申し込もうかなと考えていました。というのも、製図試験は採点が明らかになっておらず、製図の練習をしてもそれが合格レベルかどうかわからないからです。そのため、不合格となった時に、自分がなぜ不合格になったのか、何が足りなかったのか、どうすれば次回合格できるのか、という分析が難しくなります。

結果として、Kuroは製図も独学で合格しましたので、製図試験も独学で合格可能なことは確かです。独学にはメリット・デメリットがありますので、まずは少なくとも一回独学でやってみて、不合格なら添削サービスの利用や資格学校への通学を検討する、という姿勢とされてはどうでしょうか。

独学で学科・製図共に合格できたら、かなりの支出を抑えることができますし、大きな自信にもなりますよ。

Kuro
Kuro

最後までご覧いただきありがとうございました!


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